特定非営利活動法人
エルトゥールルが世界を救う
理事長 冨田 博文
皆様、平成30年(2018年)10月に浦理事長および理事会のご指名により、第2代目理事長を拝命いたしました冨田博文でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
初代理事長の浦氏が、世界にも大きな影響を与えた「海難1890」(制作:東映)を公開に導かれた功績には、心より感謝申し上げます。設立当初から、理事と事務局を務めてまいりました私にとって、その浦氏の後任を仰せつかることは大変荷が重いことではございますが、精一杯務めさせていただく所存でございます。
2012年4月に弊NPO法人が設立し、エルトゥールル号の物語を映画化するための寄付活動を開始したところ、815名の会員の皆様から心温まるご寄付と運営費用を頂きました。寄付金は、田中光敏監督のクリエイターズユニオンへ1000万円、そして、運営費用はパンフレットや会員の皆様へ定期的に発送する資料、Tシャツ他の郵送費に全額を役立たせていただきました。
映画が2016年12月に公開され2年以上が経過し、寄付活動については現在休止状態になっておりますが、ごあいさつも兼ねて、2019年元旦には会員の皆様に年賀状を送らせて頂きました。
映画制作の実現という大きな目標を達成した後、エルトゥールル号の物語をより多くの人々に知ってもらうことを通じて世界平和に貢献しようという会の設立の目的に立ち戻り、今後も活動を進めてまいります。
恥ずかしながら、私自身もこの法人設立の1年前までは和歌山県串本町でのトルコ軍艦エルトゥールル号遭難事件については詳しく存じ上げておりませんでした。本や資料を調べる中で、トルコ・日本の両国の「結ばれた強い絆」や「真心」の存在を知るにつれ、弊法人の意義を痛切に感じ、設立に加わりました。
平成23年(2011年)3月11日に発生した東日本大震災。
宮城県石巻市、多賀城町、七ガ浜町など被災地に、各国から支援に駆けつけた「救援隊」の中で、最長となる3週間、深刻な原発事故に見舞われながらも現場に踏み止まり、最前線で救援活動を続けてくれた国がありました。それは、トルコでした。
異国の被災地に踏み止まり、支援活動を続けることの難しさは、想像を絶するものでしょう。
わが身が犠牲になったとしても「役に立ちたい」「助けたい」という底知れぬ勇気は、相手国への「強い信頼感」と「友情」がなければ、とても湧いてこないはずです。
「エルトゥールル号事件」も「テヘランの邦人救出」も、政治などの枠組みを超え、「自分たちが助ける」という強い自主の精神に基ずくヒューマニズムから生まれたものでした。そして、「エルトゥールル号事件」をきっかけに結ばれた両国の絆は、「人と人との真心」のつながりであるからこそ、長い時を経ても切れることがなかったのです。
このような絆が史実に存在することを広く知ってもらい、その絆を深める継続的な活動こそ、世界平和への寄与につながると信じております。
前理事長の浦氏が高く挙げた灯りが絶えぬよう、また、弊法人の役職員と共に新たなステージを目指して活動してまいりますことを決意致しますので、引き継ぎ、ご指導ご支援を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。