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第7話 『ついに首都空襲』

2012年1月3日 高星輝次

1985年3月12日未明、私の住んでいるテヘラン市北部のナフト地区という比較的高級住宅地に衝撃が走った。ついに首都テヘランにロケット弾が投下された。その頃、私のアパートはベッドルームが3室あり空けておくのももったいないし、ホテル住まいよりはくつろげるでしょうという事で、日本からの出張者達を2名ずつ私のアパートを利用してもらっていた。

空襲のあった日は日産ディーゼルから出張に来ていた二人が私のアパートに宿泊していた。未明、ものすごい音に飛び起きてベッドから落ちたとその人は言う。空襲直後心配してN商社の駐在の方がすぐに私のアパートに電話を入れてくれた。そのとき私は・・・・爆撃音にもそれによる振動にもたじろがず?眠っていました。

そうなんです、私は爆撃でも目を覚まさず寝ていたのです。朝が来ていつも通り起きてきた私に、爆撃以来眠れずリビングで身を寄せ合っていた二人が、未明の恐怖を語ってくれました。「未明にものすごい音と振動があり飛び起きていたら電話が鳴った。イラン人からの電話だったらどうしようと思いながら出てみたら、N商社のM部長からの電話だった。『高星さんは?』と聞かれて私のベッドルームの様子を窺うといびきが聞こえてきた。」

やがて、会社に行く時間となり運転手も来たので下りて行くとN商社の所長と顔が会い「いやあ、ついに来ちゃいましたね。」と言われて、初めてやはり未明の空襲は本当だったんだ。それでも目を覚まさなかった私は、もう少し着弾点がずれていたらそのままわからないままこの世とおさらばだったのかも知れないなという思いがした。

この日を境に、私たちもいよいよ「国外脱出」を真剣に行動に移すこととなる。工場の生産立ち上げで来ている皆さんは、工業施設などは攻撃目標にされている可能性があるという事で、工場へは行かずN商社の事務所で待機していただいた。私もユーザー訪問でもないので自分の事務室で出張者のご家族への電話連絡を試みる。

事の真意は定かではないがこの当時、日本とイランの間には電話回線は2本しかなく、そのうちの1本は日本とイランの国家事業ともいうべき「イラン-ジャパン石油化学プロジェクト」が独占的に使っており、そのほかの人は1本の回線だけで通信しているとのことだった。

私は、朝事務所へ出社後、自分のデスクでひたすら電話のダイヤルを回し続けた。6人の出張者の家族と電話がつながり、自分の家族に電話をしたときには、外は夕暮れで赤くなっていた。あまり滑らかでなく、反力の強い電話機のダイヤルを一日中回し続けた私の右手の人差し指は爪の中で内出血を起こし爪が紫になっていた。

こうして、昨夜至近距離で爆撃を受けたアパートにまた戻って夜を過ごすこととなった。「今夜も爆撃はあるのだろうか? 昨日あれだけそばに落とされているのだから、私のアパート直撃があっても何の不思議もない」この日が一番不安な夜だったかもしれない。

3月19日の脱出が叶うまでの恐怖と怒りの1週間の始まりであった。

蜂の巣の車

蜂の巣の車

こちらの記事は、トルコ・イタリア・ポルトガル雑貨のオンラインショップ「JUNPERIAL SHOP」様がホームページで掲載されている、『イラン・イラク戦争 奇跡の救出劇「~日本・トルコ友情物語~ -高星輝次さん編-」』から、店主のJUNKO様のご厚意により転載させていただいているものです。

人々の物語

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