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第10話 『私たちの戦後』

2012年5月6日 高星輝次

1985年3月19日イラン-イラク戦争が激化し逃げ場を失った私たちをトルコエアーが救助してくれました。無事逃げ出すことができたイスタンブールの夜はしたたかに美味しいワインをいただきました。

多くの日本人がそのまま日本へ帰国した中、私たち一行はパリに廻り一泊して日本へ向かいました。ですから成田空港でのマスコミの集中砲火は浴びずに静かな帰国となりました。でもパスポートコントロールで「どちらから?」と聞かれてイランからと答えると「ご苦労様でした」と答えが返ってきました。

帰国して初めて茨城の実家に帰った時、母は黙って私の背中を撫でていました。たまたまその日伯母が来ていて「よく無事で・・・」と私にすがって泣き崩れました。とんでもない心配をかけてしまったと改めて思いました。

母や伯母にとっては太平洋戦争を経験しており、戦争のつらさ怖さ無残さは骨身にしみていることなのでしょう。ずいぶん後になってから、戦争が激しくなっていくニュースが流れる中、私の安否を会社に尋ねるべきか、親がそんなことを言わない方がいいのかずいぶん悩んだと聞かされました。

無事帰国できて、元の日常を取り戻して行きました。そんな中(多分沼田さんが発案者だと思うのですが)あの時のメンバーでまた集まってお話をしたいねという事になりました。イラン戦友会発足です。

最初の戦友会は山中湖に一泊してゆっくりとお酒をいただきながら思い出話をする会にしました。ところが、山中湖近くの自衛隊演習場では夜間の火器訓練の日でした。イラン-イラクの戦争の夜を思い出せるような爆音、振動・・・・すごい演出の戦友会となりました。

その後も那須で一泊の戦友会をやったり、千葉養老温泉で開催したりしましたが、徐々にみなさん日々の仕事とお付き合いの方が忙しくなり、戦友会の開催も徐々に頻度が下がって行きました。

こうして私たちの戦後の時間が進んで行きました。

戦友会

戦友会

こちらの記事は、トルコ・イタリア・ポルトガル雑貨のオンラインショップ「JUNPERIAL SHOP」様がホームページで掲載されている、『イラン・イラク戦争 奇跡の救出劇「~日本・トルコ友情物語~ -高星輝次さん編-」』から、店主のJUNKO様のご厚意により転載させていただいているものです。

人々の物語

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