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第12話 『二度目のイスタンブール』

2012年9月23日 高星輝次

二度目のテヘラン赴任は4カ月の予定となっていた。就労ビザは持たないで旅行者として入国している関係上、滞在できるのは3カ月であった。3か月で一旦、他の国に出国し再入国して任期をつなぐこととなる。

1986年11月に一時出国をどこで過ごすかを考えるのは結構楽しみでもある。前回の赴任中に一時出国を予定していて戦争激化により急遽帰国してしまって叶わなかった、オーストリア・スイスへ行くという選択肢もあったが、折からの不景気の影響で「一時出国は近隣の国で最小限の日程で計画するように」という指示が本社から出された。

ドバイかトルコ辺りでということである。ならばトルコに婚約者を呼んでトルコで会おうかということも考えたが、最小限の日程でという指示を考えると、1日・2日の滞在の為にわざわざ日本から婚約者を呼ぶのもためらわれ、結局一人で2泊3日のイスタンブールの休日とした。

1985年3月にトルコエアーによって戦争の最中に救出していただいたわけだが、二度目のトルコ訪問にあたっても特別な感慨は持たずに訪ねていった。ましてや90年以上前に和歌山県樫野の方たちが台風によって遭難したトルコの軍艦エルトゥールル号を救助し、そのこともあって、戦争の最中に危険を冒してトルコエアーが日本人を救助してくれたというようなことは全く理解しておらず、今となっては、自分の勉強不足と無知を恥じるところである。

イスタンブール アタチュルク国際空港に到着し、ホテルまでタクシーに乗った。滞在先はシェラトンホテルだったと記憶している。ホテルまでのタクシーの中でドライバーと話していると「観光をするなら明日1日中タクシーで案内するから雇ってくれ」という話になった。確か日本円換算で1万円くらいだった。

土地も不案内だし、1日で効率よく見て回るのには丁度よいだろうと思って、そのドライバーにお願いすることとした。「明日8時丁度にホテルの玄関で会おう」ということにして別れた。私にとっては約束の時間にきちんと時間を守ってやってくることが、そのドライバーに身を委ねるかどうかの一つの判断基準にしていた。

果たして彼は、8時丁度に私がホテルのロビーに降りて行くと既に来て待っていてくれた。タクシーに乗ってまず最初にお願いしたのが「紙」を買いに行くことである。このころテヘランでは紙が不足し、N商社含めて紙で困っている状況で合った。

事情を話すとドライバーはもう一度ホテルで紙を買うところを確認して、紙問屋が並ぶような場所に連れて行ってくれた。A4サイズの紙を30kgほど購入してから、彼の案内でイスタンブール観光が始まった。

ブルーモスクを始め有名な建物・寺院を見学し、ボスポラス橋を渡りアジア側へ行ったり、魚料理が食べたいという私のリクエストに答え、ボスポラス海峡を北にさかのぼり美味しい魚料理を食べさせてもらった。

車中、トルコには親日家が多いことも聞かされた。バルチック艦隊に一矢を報いた日本軍への敬意や、ボスポラス海峡にかかる二つ目の橋が日本の技術で作られることなどをドライバーから聞かせてもらった。

こうして2回目のイスタンブール訪問は実に快適な休日となった。

ボスポラス海峡のレストランにてタクシードライバーと

ボスポラス海峡のレストランにてタクシードライバーと

こちらの記事は、トルコ・イタリア・ポルトガル雑貨のオンラインショップ「JUNPERIAL SHOP」様がホームページで掲載されている、『イラン・イラク戦争 奇跡の救出劇「~日本・トルコ友情物語~ -高星輝次さん編-」』から、店主のJUNKO様のご厚意により転載させていただいているものです。

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