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第20話 『日本・トルコ友情コンサート イスタンブールへ』

2014年11月3日 高星輝次

2010年7月28日 東京 サントリーホールでの日本・トルコ友情コンサートに呼んでいただき参加しました。このコンサートの最後でトルコ行きのエアチケットが当たる抽選会がありました。「自分に当たる!」と直感めいたものがひらめいたのですが、実際には当たりませんでした。

1985年3月にトルコエアーによって退路を断たれたテヘランからトルコエアーによって救出していただき、あれから25年の時が経過しました。今年は6月の和歌山県串本町での「日本・トルコ友好120周年記念事業」に参加させていただきました。

そしてそのご縁で、向山さんたちが7月28日に開催した「日本・トルコ友情コンサート」にも参加させていただきました。コンサートに来ていただいた知り合いの皆様へのお礼も終わり、いよいよこれで「私のトルコ年」も終わったなと感じておりました。

ところが2010年8月5日に沼田さんからまた驚きのメールが届きました。「日本・トルコ友情コンサート」を9月にトルコで開催をするので、イスタンブールでのコンサートにイラン戦友会の方を4名招待したいというものでした。

向山さんたちコンサートの御一行はアンカラ、メルシンでもコンサートを行い、最後にイスタンブールでコンサートをする予定になっていました。私達は9月25日に日本を出発し、27日にイスタンブールでのコンサートに参加し9月30日に帰国するというスケジュールでした。

もうここまで来たら後には引けません、早速、会社の上司に5日間の休暇をお願いし、沼田さん夫婦と私たち夫婦でイスタンブールでのコンサートに参加させていただくこととしました。

8月18日にさらにサプライズ情報がありました。

イスタンブール日本総領事の林様から沼田さんにメールが入りました。

5月にトルコのTVで放映された、トルコエアーによって救出された日本人の映像(沼田さん)を見た、元トルコエアーの客室乗務員の方が、イスタンブールの日本領事館に対して、「自分はあの時のキャビンアテンダントをしていた者ですが、是非あの方にお会いしたい、自分が日本に会いに行くので連絡先を教えていただけないか?」と問い合わせをしてきたようです。

その後の連絡は途絶えていたようですが、我々がトルコを訪問するなら日本領事館で当時のトルコエアーの皆様との面会を領事館でセットしましょうという夢のような連絡が入りました。

9月25日、この日は東京に台風が接近していました。沼田さんご夫婦は台風での交通機関の乱れを警戒して成田に前泊をされました。出発間近になって天候はかなり荒れてきました。それでも13:35定刻でトルコエアーTK51便はイスタンブールに向けて離陸しました。

機内でおいしく料理をいただきワインを楽しんでいると、沼田さんから一冊の本が渡されました。「この本知ってる? 先日串本町でお会いした、元伊藤忠商事のイスタンブール支店長、森永さんが書かれた本だよ、機内で読み終えると思うから良かったら読んでみれば、結構泣けちゃうよ。」

本を手に取ると「トルコ 世界一の親日国」と書かれている。早速ページをめくる、・・・イラン イラク戦争もたけなわの1985年3月、イラン在留邦人達はイラク空軍機の空爆から逃れ、テヘランから脱出しようとしていたが、テヘラン空港に乗り入れていた各国の航空機への搭乗を拒否され、絶望の淵に立たされていた。

そこに救いの女神が現れた。トルコからの救援機が飛来したのである。戦禍のテヘランから脱出の方法がなくなり、困りきっていたイラン在留邦人は、トルコ航空のお蔭で、テヘランから脱出し、無事イスタンブールに逃れることができた・・・はしがきを読み始めた瞬間から涙・涙である。

飛行機の中で、涙・涙で一冊の本を読み終え、9月25日(月)19:37(現地時間)イスタンブール アタチュルクエアポートに到着。沼田さんはアタチュルクエアポートがきれいに改装されたというが、私の頭の中には25年前、テヘランから救出していただいた時のアタチュルク空港の記憶は残っていない。

25年前、大変な混雑で混乱するテヘラン メヘラマバードエアポートからトルコエアーに乗り離陸した。離陸してしばらくすると、私達の乗っている飛行機の両翼にピタリと寄り添う戦闘機の姿を見る。護衛をしてくれているのか?これから攻撃されるのか?機内が騒然となる。

そしてしばらくして「トルコへようこそ」との機長からのアナウンスが入る。登場している日本人たちの歓声。アンカラに着陸、機内の日本人からいつもは着陸しても拍手などしない日本人たちが拍手と歓声で機長を始めクルーに感謝を表す・・・・ この後飛行機はアンカラを再び離陸しイスタンブールへ向かったわけだが、アンカラを離陸したところから私の記憶が飛んでいる。

イスタンブールのホテルに入り、無事の脱出を祝ってワインで乾杯しているところまで記憶がない。平常心を保っていたつもりだが、やはり相当の恐怖とストレスから記憶が飛んだのではないかと思われる。

空港からタクシーでイスタンブール新市街のインターコンチネンタルホテルに向かう。ガラタ橋の手前に差し掛かると丘の上でライトアップされているモスクや、水道橋が見えてくる。 またこうしてイスタンブールを尋ねることができたことを実感する。

ホテルにチェックインをしてその日はガーデングリルで軽めの夕食をして眠る。ホテルの部屋からはボスポラス海峡に架かる橋がライトアップされて見えている。日本の作った第2ボスポラス橋(ファーティフ・スルタン・ムフメト橋が正式名称)だろうかとしばし眺める。

翌日は多少雲の多い夜明け、ホテルのバイキングで朝食をいただく。チーズがおいしい。朝食後にホテルの近くを散歩していたら、日本・トルコ友情コンサートの大きなポスターがあちこちに貼られています。

結構今回のイベントは注目されているようです。沼田さんご夫婦は今日は休息日にするとのことでしたので、私たち夫婦は日本から予約しておいたボスポラスクルーズの観光に出かけることとした。

9時ちょうどに今日の観光ガイドをしてくれるアフメットさんがホテルに迎えに来てくれました。車で船に乗る旧市街側にガラタ橋を渡っていきました。このガラタ橋も25年目と変わらないイメージではありますが、25年前は実は浮き橋だったようです。そんなところにも25年の歳月を感じます。

クルーズの出発まで少し時間があったので、船着き場の近くにある「エジプシャンバザール」を覗いて時間調整をして、いよいよ船に乗りました。

ガイドのアフメットさんは、イスタンブール大学で日本語を学んだそうです。現在は別の職業についていますが、学んだ日本語を生かしてアルバイト的に観光ガイドをやっているそうです。日本語もかなり上手で、言葉ができるだけでなく日本の歴史なども相当勉強されています。

クルーズと言っても、日常交通の乗合船ですのであちこちの船着き場に停船しながら、ボスポラス海峡を遡っていきます。船に乗ってしばらくすると、アフメットさんがチャイを買ってきてくれました。通路を挟んだ反対側にいた老夫婦のご婦人が「日本人ですか?」と尋ねてきて、私達にシュミットというトルコのパンのようなものを進めてくれました。

なんか日本人にとってはとてもうれしい環境です。パンを食べたり、ヨーグルトお食べたりしながらのんびり周りを眺めながらの舟遊びです。

やがて船は、イギリスが建設した第一ボスポラス橋をくぐり、次に日本が建設した第二ボスポラス橋に近づいてきました。アフメットさんがいうのには、「第一ボスポラス橋は風が吹くとすぐに通行止めになってしまうが、第二ボスポラス橋はめったに通行止めにならない、日本の技術はすごい」と賞賛してくれました。

第一ボスポラス橋は1973年完成、第二ボスポラス橋は1988年の完成ですから15年間の時間差がありますので、橋を作る技術の進歩もあってのことでしょうが、「日本が作った橋の方が素晴らしい」と言われるのは、自分が関係したわけでもないのに、日本人としては気持ちの良いものです。

2時間ほどで終着のサルイエルに着き船を下りて、アフメットさんおすすめのレストランで昼食です。屋外のテラスで魚がメインの料理をいただき、ビールで乾杯です。メインの魚はすずきを焼いたものでしたが、アフメットさん「すずき」という魚の日本語まで知っています。驚きました。昼食をいただいているとお祈りの時間を知らせるアザーンが聞こえてきました。イスラムの国にきていることを実感できます。

サルイエルから車でホテルまで送ってもらい、午後は疲れたという妻にはホテルで休んでもらい、沼田さん夫妻とホテルの近くのドルマバフチャ宮殿を見学に行きました。

ドルマバフチェ宮殿は、1843年スルタン・アブドゥルメジトⅠ世が建てた宮殿ですが、近代トルコの父といわれる初代大統領アタチュルクが執務中に亡くなった場所でもあります。 荘厳で巨大な建物、時計台、イギリス ビクトリア女王から贈られたという巨大なシャンデリアなどが見学できます。

夕方は二組の夫婦で街に出て、トルコ料理の夕食をいただきました。こうして3度目のイスタンブールの旅は、気持ち良くゆったりとはじまりました。 世界一の親日国トルコならではの旅かもしれません。

ボスポラスクルーズ後、サルイエルの港のレストランで昼食中の高星夫婦

ボスポラスクルーズ後、サルイエルの港のレストランで昼食中の高星夫婦

こちらの記事は、トルコ・イタリア・ポルトガル雑貨のオンラインショップ「JUNPERIAL SHOP」様がホームページで掲載されている、『イラン・イラク戦争 奇跡の救出劇「~日本・トルコ友情物語~ -高星輝次さん編-」』から、店主のJUNKO様のご厚意により転載させていただいているものです。

人々の物語

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