「海難1890」は第39回日本アカデミー賞で2部門の最優秀賞を受賞いたしました!これからも「特定非営利活動法人 エルトゥールルが世界を救う」は、トルコと日本の時空と民族を越えた相互協力の精神をテーマとした映画製作を通して、アジアから世界平和へのアピールを発信しています。

第3話 『早く脱出したい、しかしどうにもならないこの焦燥感の中、3月17日が』 

2011年08月30日 沼田凖一

3月12日の空爆のミサイルはN商社のオフィスのすぐ近くにも着弾したので、N商社の社員が出勤途中にそこを見に行ったそうです。歩いていたら少し小高くなっていた所が有ったので、その上に登りミサイルの着弾した所を探してきょろきょろしていましら、近くにいた人がミサイルが着弾したのは、お前が乗っているそこだよと教えてくれたそうです。

そう言われて良く見るとそこはビルディングが建っていた所で、そのビルディングが跡形も無く崩れ落ちてがれきとなって少し小高くなっていたと言うのです。これじゃ人間はひとたまりも無いと思ったと言う事でした。

もう工場に行くのは危険という事でN商社社宅に待機する事にしました。しかし、社宅は部屋数が足りなく全員がここに一緒に住居する事が出来ない上、もしミサイルの直撃を受けた場合、全壊となり人的被害は避けられないと思いました。

そこで、皆で話合って、全員を収容出来、地下室が有る所を捜そうと云う事になりました。地下室なら直撃を避けられるのではないだろうかと考えたからです。この条件に合う所として下町に有るラマテア・ホテルが良いだろうという事になりました。

翌3月13日になって、16日か17日のアエロフロートだとチケットが取れるかも知れないという情報が入って来ました。この機会を逃すともうチャンスが無いかも知れないという不安が有りましたし、それとヨーロッパ航空便よりアエロ・フロートが安心ではないだろうかという考えが有りました。

それは如何にイラクと言えどもソ連の航空機を撃墜したら何をされるか判らないからやらないのではないかという期待の考え方が根底に有りました。そこで、アエロフロートのチケットも入手する方向でN商社が動いてくれました。

12日の爆撃でベッドからはじき飛ばされた日産の技術者はもう限界になっていました。夕食をN商社社宅で済ませ、皆一緒に移動し、午後7時にはホテルに落ち着きました。これで全員が一緒にいるので、何時でも一緒に行動出来る状況が出来ました。しかし、これで問題が解決した訳では無いのです。飛行機の空席が取れなければ国外に脱出できません、相変わらず、N商社の社員はテヘラン中のヨーロッパ航空会社のオフィスを駆けずり回り空席を捜してくれていました。

こうしている間にも時間はどんどん過ぎ、3月17日になってしまいました。この日の夕方、イラク・フセイン大統領は戦局の硬直状態に苛立ち「3月19日20時30分以降イランの空域を飛ぶいかなる航空機も安全を保証しない」という悪魔の警告を出しました。在テヘラン日本大使館からは直ちに在住日本人に知らされました。

しかし、我々はどうする事も出来ませんでした。飛行機の空席が取れる事を待つしか無いのです。イラク・フセイン大統領の警告は関係の無い国の民間機迄撃墜すると云うもので、普通考えられない事でした。これを聞いて我々はヨーロッパ航空会社は欠航してしまうのではないかと思いました。もはや航空便での脱出は不可能かと思い絶望感に追い込まれました。

当時のテヘラン市内

当時のテヘラン市内

こちらの記事は、トルコ・イタリア・ポルトガル雑貨のオンラインショップ「JUNPERIAL SHOP」様がホームページで掲載されている、『イラン・イラク戦争 奇跡の救出劇「~日本・トルコ友情物語~ -沼田凖一さん編-」』から、店主のJUNKO様のご厚意により転載させていただいているものです。

人々の物語

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